ムソルグスキーの涙 「すべてを失った絶望、そして救済」







今回321日に水曜日のクラシック《涙の音楽》を開催するにあたり、プログラム組みにはとてもこだわりました。《涙》を扱う楽曲はクラシック音楽の世界において少なくありません。



表題の『ムソルグスキーの涙』は今回演奏する楽曲の一つです。今回チェロとギターによる編曲で演奏しますが、もともとはピアノのための小品。ムソルグスキーといえば「展覧会の絵』で有名なロシアの作曲家ですが、この『涙』は彼の晩年の作品。

晩年、彼は人気絶頂期から転落した。友人も肉親も彼の元から去り、アルコールに溺れた。そしてこの作品が生まれたとされる1880年、彼は職を追われ貧困にあえいでいた。翌年彼は病没する。


彼は若いころ物腰の柔らかい礼儀正しい青年だったそうです。繊細な性格で、辛辣なキュイ(ロシア五人組)とは合わなかった。最後に酒を頼ってしまった彼がぼんやり見えてくるような気がします。


涙の楽曲構成はト短調(g moll)からト長調(G dur)へ転調し、またト短調(g moll)へ戻るシンプルな構成で作られていますが、最後の和音だけ長調となる。これをピカルディ終止といいます。


ピカルディ終止はバッハなどのバロック時代に多用された作曲表現の一つ。その意味は「苦しみからの救済」。




評価を失い、友を失い、職を失った晩年のムソルグスキー。彼は世界中のクラシックファンから愛され、間違いなく歴史に残る作曲家となりました。彼は救われたのだろうか。そうあってほしいと願います。




五十嵐紅/クラシックギター



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水曜日のクラシック vol.17
《涙の音楽》
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2018321(水・祝)
19:00-20:00(18:30open)
会場:hall60(原宿駅表参道口より徒歩6)

チケット(前売)
一般 3,000/ペア 5,500
ネット購入(少しお得です!)

出演者
田村幸代-ソプラノ
矢口里菜子-チェロ
五十嵐紅-クラシックギター
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プログラム
ムソルグスキー:涙
ヘンデル:私を泣かせてください
ダウランド:流れよ我が涙
木下牧子:海と涙と私と
ロッシーニ:一粒の涙

タレガ:ラグリマ ほか